病名:恋煩い
症状:末期
処方箋:あなた
死んでしまうかもしれない、と思った。
胸が苦しい、頭が痛い、顔が熱い。
「ひどい」
隣で瞑想に耽っている男を睨みつけてそう漏らしてみる。
目をつぶっているから彼に私の表情は見えていない。
ひどいのだ。
私の病気の原因。
「病原菌」
「は?」
「病原菌!」
超不機嫌な顔をされる。当たり前だ。
こんなこと言われて喜ぶなんて、…いない、と思う。
ちょっと自信が持てないのは…なんでもない。
「誰が病原菌だって?」
「あんたよ」
「お前、つくづく失礼だな」
「この教団の人たちが何かと失礼だと思うけどっ」
失礼なのだ。教団が。
私の青春を奪ったと思ったら、いきなり末期症状まで落とし込む。
こんな状態で仕事をしてる私をもっと褒めてほしいくらいよ。
「、お前ってやつは…」
「だめだめだめ、名前呼ばないで、ほんとに死ぬ」
きっと心臓が破裂して死ぬのだ。
それとも呼吸困難?
血液が頭に上りすぎて血管が…
「いたい」
「泣いたふりすんな」
いたい、くるしい、あつい。
「残念だったな、それ多分治らないぜ」
「失礼なのはどっちよ!」
治らないと思う。自分でも。
だって、この目が優しいのを私は知ってる。
だって、ほんとは、
「俺がいる限り治んねぇな」
そう言って、笑うんだもん。
一番の病原菌で、
一番のクスリが。
私が大好きな分、その2つが私の中で入り混じって
また大好きが出来て、また好きになって、
だからもっともっと、
大好きを返してやって
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(貴方に逢いたくて様に献上!)