『クロス元帥、私クロス元帥のことが好きなんです!!』

ここは黒の教団総本部。外の天気は悪く、雷が鳴り響き、窓際に立った1人の少女と1人の男にフラッシュを向けていた。

「あ?」
声を掛けられた、クロス元帥と呼ばれる男―クロス・マリアンという元帥の役職につくエクソシスト―は機嫌悪そうに返事を返す。

『私、クロス元帥のこと好きなんです!!』

その言葉に男はニタリと笑う。何かを企んだような顔つきだ。

「で?どうしたいんだ」

男は少女に聞く。

『愛人でもいいんです!それ以下でも!!だから、傍に置いてください!』

その15歳にも満たない少女は、男に頭を下げる。

「ワリィが、オレは餓鬼には興味ないんでな。まぁあと3年くらいすればなかなかの上玉になるだろうがな」

男の声を聞いた途端、少女は男の反対側へと走り出す。
少女の瞳からは、無数の透明な涙。溢れて、零れて、彼女の頬を濡らす。



「…ったく。オラ、行ってやれよ」
男の後ろから出てきたのは、これまた長髪の、少年とも青年ともどっちつかずな男だった。

「…はい」


「協力してやってんだ、失敗するんじゃねぇぞ?」

男の口から、このひとことが漏れた時には既に雷は止んでいた…。



私は止まることなく走り続けた。どこへ向かっていたか、自分でもわからない。

『はぁっ…はぁっ…』

エクソシストの中でも体力のない私はすぐに息が切れてきた。


そして私は立ち止まる。
元々貧血気味な私はふらり、と前に倒れかけた。

「大丈夫か?」

聞こえる筈もない声が聞こえた。というか、この声でこの台詞が出てくるのはお門違いってものじゃないの?

不意に私の身体は抱き締められる。近付いてきたのは、清楚な石鹸の香り。

「お前に泣かれると、俺が困ンだよ、

そう言って、私の頭を優しく撫でてくれる。


あぁ、私はなんて惚れっぽいんだ。
たった、たったのこれだけで今迄嫌っていたこの人を好きになってしまうのだから。



(でも、secondloveは実るハズ)
(俺は、コイツが思ってる以上に想い続けてるんだ)